タイトル

Golden Cheetah3.5(安定版)のリリースとバニスター・モデルの活用例

Golden Cheetah

無償で利用できるパワーデータ解析ソフト、Golden Cheetah(ゴールデンチーター)のバージョン3.5(安定版)がリリースされました。
ダウンロードはこちらからできます。

バージョン3.4が出たのが3年前で、そこから何度も細かいリリースを重ねてようやく安定版が出たということでちょっと感慨深い。
既に最新版を使っている人には目新しさはありませんが、安定性が向上しているはずなのでインストールしておくと良いでしょう。
3.4から強化された点は以下の通り。

・ より多くのクラウドサービスとの連携
・ 強化されたモデリング
・ R / Pythonを使用したユーザー定義可能なチャートのサポート
・ パフォーマンスと安定性の向上


クラウドサービス連携やユーザー定義チャートはこれまで何度か取り上げてきましたが、よくわからなかったのがモデリング強化のところ。
バニスター・モデルって何だ?
とりあえず見てみることにしました。以下、安定版でなくてもバージョン3.5であれば同じ手順でいけるはずです。

■バニスター・モデルのチャートを確認する手順

「Trends」メニューを選択 > 「Banister」チャートを探してクリック
※もし何も表示されない場合は、右端の3本線をクリック > 「Download Chart」 > 検索窓に「Banister」と入れて「Search Keyword」を押す > 「Banister (Bike)」の画面をクリック > 「Download selected chart(S)」を押す

download chart

これでバニスター・モデルのチャートが確認できます。

Golden Cheetah3.5 banister model


■バニスター・モデルとは何か?

ざっくり調べてみたところ、1975年にエリック・バニスター教授が考案したパフォーマンスを定量化するための初めてのモデルとのこと。パワトレ界隈で有名なTSBモデルはおなじみATL/CTL/TSBを使用してトレーニングストレスの影響をモデル化しますが、バニスター・モデルはパフォーマンスにプラスの影響(適応)を与えるか、マイナスの影響(疲労)を与えるかを二つの曲線で表します。それぞれ減衰期間が異なり、その差がフィットネスの指標になります。
ちなみにTSBモデルはバニスター・モデルを簡略化したもの。

結局のところTSBモデルもバニスター・モデルも元となるストレススコアが必要で、Golden CheetahのチャートではBikeScore(≓TSS)を使いますが、TRIMP(心拍データから出したスコア)を使うなど他のやり方もあります。というか元々はランニング用にTRIMPを用いたモデルでした。

ここからはGolden Cheetah独自の機能ですが、TSBチャートと異なるのはCP60(=FTP)の予測ができるということ。これは、過去のアクティビティデータから4~60分間の最大努力を「パワーインデックス」と呼ばれるアルゴリズムでサンプリングし、このデータを元にCP60を算出したものです。サンプリングに使われたアクティビティはチャート上に青い丸で示されます。

もともとGolden Cheetah自体にも3分と20分のCPを入れるとCP60を推測してくれる機能がありましたが、これは3分の数値が高いと実際より低めに出る傾向があります。パワーインデックスではこのずれが少なくなるようチューニングされているとのこと。(LT付近が大部分を占めるトライアスリートでも精度の高い数値が出るらしい)

■ちょっと気になったこと

チャートを見てみると、長期間乗れなかったのにCPが下がるどころか逆に上がっているところがあったりします。
これはプラス曲線の減衰期間が50日もあるためかと(疲労曲線の減衰期間は11日)。さすがに2、3週間も乗ってなければ体感的にはガクッと落ちているように思うのですが……。
この減衰期間は設定で好きな値に変えられます。

■バニスター・モデルで何ができるのか

リアルタイムにCPの変動を確認できるのでパワートレーニングの精度を高められそうです。
また、過去にCPが最大値に達した時、その直前にどのようなトレーニングをしていたかを分析すれば、自分に最適なピーキングのやり方が見えてくるのではないでしょうか。

例えば、以下は自分の例ですが、交通事故でしばらく乗れなかった後に練習を再開して、3ヶ月で過去最高のCPをマークしました。その3ヶ月間にどういった練習をしていたかを見れば今後のピーキングに活かせるのではないかと。(同じ内容をまたできるのかという問題はある)

banister model(peak CP)

とは言っても、CTLのピークとほぼ同じであれば別にそっちでもできるじゃんという話も……。
詳しく比較した訳ではないですが、TSBモデルは派生型だけあって大体近しい形になっている気がします。

あと、せっかくこういう機能が追加されたので、Golden Cheetahに設定するCPも手入力ではなくバニスター・モデルと連動できるようになるといいなと思います。そのうち実装されるかもしれませんが。

  1. 2020/01/18(土) 12:57:22|
  2. パワトレ関連
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

Golden CheetahのStrava同期が復活

Golden CheetahのStrava同期ができなくなった件ですが、最近になり「VERSION 3.5 RELEASE CANDIDATE 2X」という新バージョンが公開され、不具合が修正されたようです。

ダウンロード方法は、まず以下のページにアクセス。
https://github.com/GoldenCheetah/GoldenCheetah/releases/tag/V3.5-RC2X

このページの最下部にダウンロードリンクがあるので自分の環境に合ったものをダウンロードします。

あとはインストーラーを実行するだけですが、この時以下のような画面が出た場合は、「詳細情報」を押すと出てくる「実行」ボタンを押せばインストールを続行できます。

WindwosによってPCが保護されました

また、インストール先ディレクトリは、例えば以下のように旧バージョンとは別名にしておくと良いでしょう。

Choose install Location

インストール完了後、新バージョンを起動するとStravaとの連携が切れている場合があるので、以下の手順で連携します。

ツール > オプション > アスリート > Accounts > Stravaを選択 > [Edit] ボタンを押す > [Authorise] ボタンを押す

これで以前のようにStravaからアクティビティを取り込むことができるようになるはず。

  1. 2019/12/16(月) 15:12:47|
  2. パワトレ関連
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

Golden Cheetah3.5 RC1でStrava同期ができなくなった

GC&Strava

1週間くらい前からGolden Cheetah(3.5 RC1)のStrava同期がうまく動いていないようです。
現象としては、「Synchronise Activities」→「Strava」メニューを開いても、最新のStravaアクティビティが表示されない。Stravaの再認証をしても解消しない、というもの。

[参考記事]
Golden Cheetah 3.5でStravaとの自動同期ができるようになった
Golden Cheetah3.5でStrava同期がうまく動かなくなった時の対処法

ちなみに2番目の記事の不具合と今回の原因は別です。今回の原因はStrava側の仕様変更によるもので、OAuthと呼ばれる認証システムのポリシーが変更になったためとのこと。

Strava Sync broken #3216(GitHub/Golden Cheetah Issues)

既に修正版は次バージョンに含まれており、RC2のリリースで解消する見込み。
それまでは手動でアップするしかなさそうですね。

Stravaからtcx形式でログファイルを落とす手順は以下に書きました。

StravaからTCXファイルをエクスポートする方法

Golden Cheetahにアップするには、「Activity」→「ファイルの取り込み」からtcxファイルを指定すればOKです。

とはいえ、自動同期に慣れてしまった後ではやはり面倒くさい。
何とか他の方法で同期できないかなと、IFTTTのStravaアプレットを漁ってみたりしたのですが、ログファイル自体を他の場所にコピーするというものは見つけられず、断念しました。いい方法をご存じの方がいたら教えてください。

  1. 2019/11/23(土) 09:54:14|
  2. パワトレ関連
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

パワータップとペダリングモニターの出力値を比較してみた

ここしばらく、メインで使っていたエモンダをオーバーホールに出していたのでスペアのCT-1に乗っていました。
CT-1にはパワータップホイールを履かせているのでパワーデータは取れるのですが、体感的にどうもエモンダのペダリングモニター(両足計測)より低めな気が。
例えばZwiftで今までこなせていたワークアウトがやたらきつく感じたり、実走でもセグメントのタイムが自己ベスト近くなのにパワーはCPに全然届いていなかったり。

前から一度検証してみたいと思っていたので、エモンダが戻ってきたタイミングで実験してみることに。
やり方は単純で、エモンダの後輪にパワータップホイールを履かせ、ペダリングモニターと同時計測するだけ。パワータップはEdge520、ペダリングモニターはパイコン(SGX-CA500)とそれぞれペアリングさせます。事前にどちらもゼロオフセット校正済み。
各ゾーンのずれを確かめたかったので、150W30秒、30秒レスト、175W30秒……というようにレストを挟んで25Wずつ、400Wまで計測してみました。(目視に使ったのはパイコンの方)

エモンダにパワータップホイールを履かせた図。

パイオニア・ペダリングモニターとパワータップ

ちなみにエモンダのドライブトレインは11速なのに対し、パワータップホイールは10速用なので適合しませんが、まあリア変速しなければ問題ないだろうということで負荷調整は主にフロント変速を使用。
計測後、Stravaに両方上げようとしたら片方がなぜかアップされない。確認してみるとワークアウト時間が重複するログは競合するため上げられないみたいで、以下のようなエラーになります。

duplicate

仕方ないので片方は直接サイコンからUSB経由でダウンロードして、手動でGolden Cheetahにアップしました。最終的に二つともGolden Cheetahに取り込めさえすれば良いので、Stravaは抜けがあっても問題なし。

ということで、まずはラップデータの比較から。

 パワータップ  ペダリングモニター 
144W153W
163W172W
177W191W
205W223W
227W247W
259W276W
290W302W
320W327W
340W351W
360W365W
373W382W


おー、予想通りのずれ。10~20Wといったところか。

全体のアベレージは9W違う。

Golden Cheetahサマリー1

xPower(≓NP)とRelative Intensity(≓IF)はこれくらいのずれ。0.72と0.76ではだいぶ違うな。

Golden Cheetahサマリー2

もうちょっとビジュアル的に見てみたいので、Golden Cheetahで二つのデータを重ねる機能を使って比較してみる。

水色がパワータップ紫がペダリングモニター

Golden Cheetahグラフ(Ride)

これだとほぼ同じように見えるけど、CPグラフだともう少し差が見えやすい。

Golden Cheetah CP2

最もわかりやすかったのは、CPグラフをペダリングモニターを基準に相対値表示させたもの。

Golden Cheetah CP1

1秒未満はスパイクもあるので無視するとして、傾向としては長時間(=低出力)では10W程度、短時間(=高出力)になるに従って20W弱程度までずれが大きくなっているように見える。

ということで、結果としては大体予想通りな感じではありましたが、具体的な数値で確認できたのは良かったです。
チームメンバーに聞いてみると、ほぼ同じようなずれを認識している人が何人か。原因は駆動系のロスなのかもしれませんが、実走に比べてローラーではパワーが出にくいという定説と同じ考え方を当てはめるなら、ペダリングモニター用とパワータップ用でそれぞれに応じたFTPを使い分ける(例えば5%減らすなど)必要があるのかなと。

【関連記事】
Golden Cheetahでグラフを重ね合わせて比較を行う方法
  1. 2019/09/01(日) 13:52:01|
  2. パワトレ関連
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

Xertで脂肪と糖質の推定消費量が見られるようになった

久々にXertを開いてみたら、いくつか新機能が追加されていました。そのうちの一つで面白いなと思ったのがこれ。

fat and carbo

アクティビティごとに、消費した脂肪と炭水化物(おそらく炭水化物のうちの糖質を指すと思われるため、以下糖質と記載)の推定値が表示されるようになっています。
消費カロリーを出してくれるサービスは沢山あるけど、こうやってエネルギー源ごとの具体的な数値・比率までわかるのは興味深い。

この情報を見るには、トップページの左側にあるメニューから[Activities] → [Dashboard]をクリックし、見たいアクティビティのタイトルを選択すると、次の詳細画面で確認できます。

これをどういった方法で計算しているのかというと、Xertによればユーザー固有のフィットネス情報に基づいたアルゴリズムが使われているとのこと。
パワーが下限しきい値の時に最も脂肪酸化率が高く、強度が増すにつれて酸化率が減少していき、最も強度が高くなった時にゼロ(すべて糖質を使用)になります。

以下がそのサンプル。

fatandcarboxidation

これはFTPが325Wの人の例。280Wの時点では脂肪:糖質=73:27だったのが、FTPと同じ325Wまで上がると脂肪:糖質=22:78と逆転し、350Wから先は100%糖質がエネルギー源となります。

これに自分のフィットネス情報を当てはめたグラフをぜひ見てみたいと思ったのですが、どうやらそれは見られないらしく。
サンプルから推測する限り、FTP*0.77あたりが最も脂肪燃焼効率が良い強度と言えそうです。L3の下限くらい?いわゆるLSDでイメージする強度よりはずっと高い。

試しに自分の最近のアクティビティから何パターンかサンプリングして、脂肪と糖質の比率を出してみました。

①3R Greater London Flat Race
28.5km/38分30秒
ave266W/NP273W/IF1.0
脂肪:糖質=1:2.9

②袖ケ浦おはサイ
63km/2時間3分2秒
ave148W/NP196W/IF0.655
脂肪:糖質=1:1

③Japan ZWIFT Endurance Ride
100km/2時間23分37秒
ave193W/NP195W/IF0.721
脂肪:糖質=1:0.3

④ファーストエイド講習会(会場往復)
25.7km/1時間5分51秒
ave109W/NP159W/IF0.59
脂肪:糖質=1:0.4

①はZwiftレースで、短時間で出し切ったやつ。②は実走の練習会でそれなりに強度高め。③はZwiftで中強度・長時間・上げ下げなしのエンデュランスライド。④はただの移動で全行程流し。

こうして見てみると、高強度になればなるほど糖質の使用率が高くなるのは確かにその通り。逆に強度が低いほど脂肪の使用率は上がりますが、グラフを見てもわかるように実は中強度と低強度でそれほど大きな差はない(むしろ③と④は逆転している)ので、時間効率良く脂肪を燃焼させたいのであればL3くらいをターゲットに長時間乗るのがベストと言えそうです。(なんか結局超普通のまとめになった笑)

  1. 2019/04/10(水) 19:00:03|
  2. パワトレ関連
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
| ホーム |
次のページ