タイトル

「銀輪の覇者」(上・下)読了

斎藤純氏の自転車ロードレース小説、「銀輪の覇者」(文庫版)を読みました。

(あらすじ) 戦争の足音が忍び寄る昭和九年、軍部の暗躍から実用自転車を使用した前代未聞の本州縦断レースが開催される。多額の賞金を狙い寄せ集めチームを結成した四人は、各々異なる思惑を秘めつつ、有力チームと死闘を繰り広げるが……本邦初の自転車ロードレース小説。

戦前を舞台に繰り広げられる自転車ロードレースという特殊な設定ながら、とても読みごたえのある内容でした。

印象に残った部分を挙げると、まず一つ目はロードレースのノウハウが詰まっているという点。
空気抵抗、集団走行、エースとアシスト、補給、マッサージ、チーム同士の駆け引き、レースの組み立て方などなど。
他にもまだありますが、正直ここまで網羅されているとは予想外でした。
それでいて変に敷居が高ということはなく、主人公の響木がチームメイトにアドバイスするという形で読者も自然に知識を得られるようになっているのはうまいと思います。

二つ目は登場人物が皆個性的である点。
いわゆる「キャラが立っている」というやつです。
元紙芝居屋で冷静沈着な主人公、落語家崩れや肉体派のチームメイトたち、敵チームにはセミプロ選手を従えた社長令息がいたりドイツからの招待チームがいたり、○○を偽って参加する人(でも一瞬でばれる)、さらには日本人より日本語が達者なフランス人記者、レース開催に全てを賭ける大会委員長などなど。
これらの人々がそれぞれの思惑を巡らせつつレースが進行していきます。
しかもほぼ全員何がしかの秘密を抱えており、特に登場人物紹介の肩書きはまったく当てになりません(笑)

三つ目は謎解き要素がある点でしょうか。
主人公や他の選手たちがレースに出場する本当の目的は何なのか。
アマチュア化の進む自転車界でなぜ時代に逆行するような賞金レースが開催されたのか。
そしてなぜスポーツタイプの自転車ではなく重い実用車なのか。
答えは後半徐々に明らかにされていきますが、これらの謎があるおかげで単調になりがちなロードレースも一味違ったものになっています。

「無茶をするな」
「今日は無茶をしますとも。死ぬつもりで引きますからね。ちゃんとついてきてくださいよ。」

試しに上巻の「序章」(4ページほどしかない)を立ち読みして、グッとくる人なら、買って損はないと思います。
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  1. 2007/11/06(火) 23:50:56|
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