
もうすぐツール・ド・フランス、という事でこんな本をご紹介。
エイ出版の『ツール・ド・フランス黄金時代』という本ですが、文庫サイズなのに880円もします。しかし読み応えは十分。
著者である北中康文氏がスポーツカメラマンとして活動していた頃、1986~1991年にツール・ド・フランスを取材した記録をフォトエッセイの形で綴ったもの。カメラマンならではの視点や現場の臨場感あふれる描写に引き込まれます。
写真だけでなく、フリーハンドで作成された各年度のコースマップや、総合順位一覧、当時の代表選手のプロフィールなどもあり充実した内容。
(内容紹介より)
●1986- イノーからレモンへ 英雄イノー最後のツール。 プレッシャーを跳ねのけ、25歳のレモンが初制覇。 シャンゼリゼに初めてアメリカ国歌が鳴り響いた。
●1987- ロッシュ、ダブルツール達成 ジロ・デ・イタリアに続き、ツールも優勝。 過去17年間で最長の4200kmを制したロッシュ。 アイルランド人初の大快挙だった。
●1988- 山岳王デルガドのパワー 山を制する者はツールを制する。 2位に7分13秒の大差をつけたデルガド。 15年ぶり3人目のスペイン人チャンプ誕生。
●1989- 復活レモン、奇跡の大逆転 シャンゼリゼは驚嘆に打ち震えた。 最後の最後でフィニョンを大逆転したわずか8秒。 ツール史上最小のタイム差だった。
●1990- レモンV3への道のり 一度も区間優勝せず、最終日だけマイヨ・ジョーヌに 身を包んで走ったレモン。 これでまた、新たな勝ち方を見せつけた。
●1991- インデュライン、新時代へ レモンV4を阻止したインデュライン。 あのデルガドをもアシストに回すその実力。 新しい時代の夜明けがここから始まった。
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個人的にはやはり写真が良いなあと。
ヘルメット着装が義務化される前の時代なので、ほとんどの選手がノーヘル、キャップ、カスク。これが今見ると逆に新鮮な感じです。
選手の顔も見やすいし、サイクリングキャップ姿もきまっていて、こういう時代もあったんだよなあとしみじみ。
ただ、やはり今の感覚からするとノーヘルでスプリントやダウンヒルしている姿は命知らずにも見えます。そういった事も含めてプロの「矜持」みたいなものがあったのかもしれません。

あと機材の話も面白い。UCIルールが今とはだいぶ違うので、前後異径のファニーバイクや空力を良くするための謎のサドルバッグみたいな物体、穴の空いたディスクホイール、水泳帽(笑)などの珍しい機材・ウェアも見られます。
ウェアと言えば、今はなくなってしまった「パフォーマンス賞」を獲得した選手に与えられるジャージが4賞全部入り。イノーがこれを着ている写真がありました。
いつかのサイクルモードで大友克洋氏が描いていた
全部入りジャージはこれだったのかな?
昔を知っている人はもちろん、知らない人でも楽しめる一冊かと。
余談ですが、自分が海外ロードレースに興味を持ち始めたのはランスが連勝を重ねていた頃(2002~2003年)からで、それ以前の事はあまりよく知りません。
唯一の記憶として残っているのは、まだ自転車に興味のなかった高校生の頃、深夜にNHKをつけたらたまたまツールの放映をやっていて(当時はNHKがツールの放映権を持っていた)、そこではインデュラインという大柄なスペイン人が連日マイヨ・ジョーヌを着て走っていた事。
そしてインデュラインは実に淡々と、集団の中で目立った動きも見せないのに連日トップをキープし続けていた事をよく覚えています。
その時は「自転車レースとはそういうものか、結構地味なんだな・・・」と思い、大体そのまま寝落ちしていたのですが、今考えれば、あれがライバルとの差を見極めつつ最小限の力で勝利をものにするという彼の勝ちパターンだったんでしょうね。
ちなみに今でも寝落ちはします(笑)
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- 2012/06/11(月) 13:11:29|
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きっと、時を同じくしてインデュライン時代をただ漠然とNHKで見てましたねぇ~。シャカリキを通じてロードレースの面白さとかを当時の自分なりに漫画と照らし合わせながら見てましたね~。でもレースよりかはヒマワリ畑、スゲー綺麗とか都市以外の外国の風景にもすごく見入っていたのを覚えてます。